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ロッドビルディング基礎 「ガイドのスレッド巻き編」

2018/05/16
  • 113,557 view
  • ロッドビルディング・カスタム

こんにちは。

タックルオフ工房の曽根です。

今回はロッドビルディングの基礎中の基礎、ガイドの取り付け方を説明したいと思います。


こちらの内容は動画でもご確認いただけます!

   



それでは手順の紹介です。




今回使用するツールです。

左上から…

 マスキングテープ 
 スレッド(糸)
 ガイドセメント
 ライター
 バーニッシングスティック
 ピンセット
 はさみ
 抜き糸
 ダイヤモンドヤスリ

となります。


それでは手順の説明に入ります。

まずガイドの足を削って先端をなだらかにします。

当工房ではベルトサンダーやグラインダーを使用することも多いですが、このようなダイヤモンドヤスリでも

処理することは可能です。

コツとしてはヤスリを固定してガイドをを動かして削るようにします。

よくヤスリを動かす人がいますが、微調整が難しく綺麗に削れません。


こんな感じで削れればOKです。


次にガイドの足の裏にガイドセメントをつけます。

これを受ける理由は後程ご説明します。

ガイドの足をライターの火で熱します。

この時根元の青い火で熱してください。

先端のオレンジ色の火で熱しますと「すす」がついてしまいます。


熱して熱くなったガイドの足にガイドセメントを擦り付けます。


写真ではわかりにくいですが、うっすらガイドセメントがついています。

ガイドでなくガイドセメントを熱してもつけることができますが、どうしても

ガイドセメントがたくさんついてしまいます。

たくさんついてしまうと後々余分を取り除くのに非常に手間がかかってしまいます。

また取り除かないでそのまま処理するとコーティングをかけた時に内側から染み出てくることがあります。

ガイドを熱した方がそうなりにくいです。

ただ、フレームは熱を伝えやすいので熱しすぎると手をやけどする恐れがあることと、

ガイドリングの接着剤を弱めてしまう可能性もありますのでやりすぎには注意してください。


小さいガイドは直接炙ることは危険なので、ピンセットで挟んで熱するとやりやすいです。


再度ガイドの足を熱してガイドセメントを軟化させます。

軽く炙るだけで軟化します。

熱しすぎると後で熱い思いをしますので注意しましょう。


素早くブランクに乗せて押さえつけます。

この時ガイドを熱しすぎていると指の腹にガイドの足状のやけどをする可能性が

ありますので注意してください。


綺麗に取り付けられればいいですが、写真のように曲がってついてしまうこともあります。


そういう場合は再度軽く熱して位置を修正することができます。

この時も熱しすぎればやけどをしますし、ガイドの重みに耐えられずに落ちてしまうこともありますので注意しましょう。


 

ガイドが大きい場合はガイドセメントだけでは落ちてしまいます。

そういう場合はマスキングテープで補強しておきます。


スレッド巻きに入ります。

巻はじめのスタートの位置にマスキングテープをブランクに対して直角に巻きます。

このテープに沿って巻き始めるため、斜めにならないように綺麗に巻いてください。


ここからは細かい説明になります。

写真ではわかりずらいですが、右手に持っている糸が「本線」で左手に持っている糸が端糸になります。

マスキングテープに沿ってこのように糸を巻くところからスタートします。


右手の糸を左手の糸の上に交差させます。

この時しっかり引っ張った状態で交差させてください。


交差させたらそのまま右手の親指で糸を押さえます。

そうすると左手を離しても糸がほどけません。


次に左手の人差し指で交差させた部分を押さえます。

こうすることで今度は右手を離すことができます。


そうしたら左手の人差し指の上で転がすようにしてブランクを回します。

こうしないと1周しか巻いていないスレッド(糸)は簡単にほどけてしまいます。


2~3周しっかりテンションかけて巻ければ左手は離しても大丈夫です。


3~5周ほど巻ければいらない端糸はカットします。

もっと巻き込んでからでもいいですが、巻き込んだ部分は膨らんでしまいます。

この後のコーティングのやり方によっては影響が出る可能性もありますので必要以上に巻き込まない方がいいです。


あとはクルクルと巻いていくだけです。

この時なるべくスレッドを持つ手を離して巻くと隙間ができにくくなります。

近くで慎重に巻いた方が隙間ができにくいと思っている方も多いですが、近すぎると少しの手のブレが大きく影響するため、

その結果逆に隙間ができやすくなってしまいます。

大きな隙間ができてしまったときは少し戻して巻き直します。

小さな隙間であれば後で修正が可能ですのでそのまま巻いてしまっても構いません。


慣れてくればスレッドに直接触れずにボビンを持ったまま巻くこともできます。

これにより手についた汚れや脂分がスレッドについてしまうことも防げます。


残り3mm位で巻き終わりの所まで来たら・・・


用意しておいた抜き糸を・・・


挟み込みます。

挟み込む位置はガイドがついている面の180度反対側になります。

また抜き糸は2本の糸をしっかり揃えて挟み込むようにしてください。
離れていると綺麗に抜くことが難しくなります。

ガイドの根元まで巻きます。

これ以上巻く必要はないですし、スレッドがガイドの傾斜部分を上ってしまい、コーティングをかけた時に

糸目を隠すのが大変になります。


スレッドの数センチ残してカットします。


カットしたスレッドの端を抜き糸の輪に通します。

この時輪の下側から入れるとスムーズに抜き糸を抜くことができます。


抜き糸をゆっくり斜め下に引っ張ります。

このまま引っ張りぬいて、出てきた端糸をカットすれば完了です。

ただタックルオフでは別の方法で処理しています。

抜き糸は端糸がほどけないように巻いてあるスレッドから少しだけ見える状態で止めます。

つまり抜き糸の先端は巻いてあるスレッドからギリギリ頭が出ている状態となり抜き糸に通っている端糸は、

そこで挟まれた状態になっています。

写真はその状態になるまで抜き糸を引っ張ったところです。

この状態だとスレッドが緩んでいる可能性がある為、端糸を引っ張り緩みを解消します。


先端のとがったよく切れるはさみで端糸を根元ギリギリでカットします。


端糸はほんの少しだけ残ってカットされているのがわかります。


この状態から抜き糸を引き抜きます。

そうするとカットされている端糸の先端が、自動的に巻いてあるスレッドの中に納まります。

ただ、このまま引き抜くと余計な部分も引き抜いてしまい結局端糸がスレッドから出てきてしまう場合があります。

それを防ぐために写真のように、左手の人差し指で押さえてしまいます。

こうすることで余計な部分を引き込むことを最小限にすることができます。

引き抜く方向は、真下でなく斜め下です。

真下に引くと引き抜いた部分が引き込まれやすくなります。

斜め下に引くことで形も崩れにくくなり、端糸もより出にくくなります。


綺麗にスレッド内に収めることができました。

抜き糸で抜ききった後にはさみやカッターで端糸を切ることもできますが、どうしても端糸が残ってしまうことがあります。

修正はできますが、その手間を考えるとこの方法の方が楽かもしれません。

このあたりはどちらでも問題は無いので試してみてやりやすい方法で行っていただければいいと思います。


最後に修正をします。

綺麗に巻けたと思っても巻き終わりのスレッドが斜めになっていたり、多少隙間ができてしまうこともあります。


隙間は表面がつるっとした硬い棒でこすってあげると、スレッドがつぶされ均等に並ぶことで隙間は消えていきます。

東邦産業から販売されているバーニッシングスティックはこの作業専用に作られたツールです。

最終の修正にはなくてはならないツールということで、弊社の一部スタッフの間では「カリスマスティック」と呼ばれています(笑)

端糸が巻き込まれた部分は少し膨らんでしまいます。

その部分もバーニッシングスティックの平らな部分を使って押さえつければある程度平らにすることができます。


綺麗に隙間が埋まりました。


これで巻きは完了です。


慣れれば簡単ですが、巻はじめがどうしても難しくてあきらめてしまう・・・という方も多いようです。

もう少し簡単に巻はじめができる方法も紹介したいと思います。

写真のようにスレッドをマスキングテープなどで仮止めします。


そのままくるっと巻きながら本来の巻はじめの位置までスレッドを持ってきます。


そのままテンションをかけながらスレッドを交差させて巻いていきます。

一番大変な巻はじめの交差の作業が簡単に確実に行えます。


3周ほど巻いたら・・・


仮止めのマスキングテープを外して・・・


端糸をカット・・・


あとは巻き巻きすればいいだけです。

どうです?

これなら簡単にできますよ!





単色巻きができたら少しは飾りを入れたくなるものです。

ということで飾りのピンラインの入れ方もご紹介します。

比較的初心者の方でもやりやすい仮止めを使用した手順で説明させていただきます。

今回は巻はじめにメタリックスレッドを3周入れる手順を紹介します。

慣れないうちはあらかじめ15~20cmほどでカットしておくとやりやすいかと思います。

マスキングテープの切れ端を用意しておきます。

ブランク(竿)に貼っておくと便利です。


巻はじめは同じです。


3周巻いたら少しずつ斜めにして・・・


らせん状にガイド側に巻きつけてしまいます。



適当なところでマスキングテープで仮止めします。


次にメインのスレッドを同様に巻きます。

巻き始めるのはメタリックスレッドが交差している部分の左側から巻くと綺麗に巻けます。

本来は右側で巻くと一番収まりがいいのですが、どうしてもメタリックスレッドとの間に隙間ができやすくなります。


3周ほど巻けたら・・・


仮止めしておいたメタリックスレッドの端を外し・・・


いらない端糸をすべてカットします。


あとの巻は同じです。

このようなピンライン入りの飾りができます。


ちなみに慣れてしまえば飾りのメタリックスレッドは仮止めなしで手で押さえながら作業することも可能です。

個人で竿作りを楽しむの出ればゆっくり作業すればいいですが、これを仕事としている私たちは正確にやることとスピードが重要になります。

その為こういったところで時間を短縮できるようにしています。




どうでしょうか?

静止画では動きがわかりづらいかもしれませんが多少はご参考いただけましたでしょうか?

指先の使い方などは人によって違いはあります。

しかしまずは真似をしてみることをお勧めします。

その中でより自分に合った方法を見つけていくことが上達への近道だと思います。

皆さんも是非チャレンジしてみてください。