今回の依頼、竿は年代物ですが、
お客様の愛竿石鯛竿をいじらせて頂きます。
持ち込みのパーツを使用して、
リールシート取り付けをします。
こちらの竿今は無き、
NFTの名竿 ケブラー製 翔17です。
もう手に入らない貴重な竿です。
※ブランクの状態確認をします。
富士工業のパイプシート 、
廃盤のFPS-26が取り付けてありました。
このパイプシートは、
現行モデルのDPSより厚みもあり、頑丈に出来ています。
元竿ブランク素体、
途中までお客様がスレッドを剥いた状態でお預かりしました。
これから正規パイプシートを外します。
ブランクはケブラー製で、
表面の素材の組み方(パターン)が独特です。
カーボンの表面とは明らかに違います。
石突きも、
スクリュービスで3箇所止めとなっています。
メーカーによっては、
1箇所止めになっている竿もあります。
石突きを外された方は、ご存知かと思われますが、
メーカーによって、
石突きを接着後、ビス止メされているケースがあり、
外すのに苦労します。
本体ブランク表面と塗装、
エポキシのコンディションの確認。
石突き外しの手順としては、
まずビスを外しプラスチックハンマーで、
石突きのくびれ部にプライヤーを挟み、
プライヤーをハンマーで、
少しずつ効きながら打ち下ろして行きます。
今回のお預かりの竿は、
お客様の加工後でしたので、
簡単に外す事が出来ました。
パイプシート外しに取り掛かります。
このタイプのパイプシートは、
スピニング同様に、フード部を真っ直ぐに移動させる為に、
パイプシート裏に溝があります。
その溝をアクリルカッターで、少しずつけがいて削り割ります。
アクリルカッターで、
パイプシートセンター部の溝をけがいて行きます。
一度けがきを入れた場所に沿って力を入れ、
一筋のみに集中して行います。
※センターの溝に沿って背割りを行う。
パイプシートのフードステンレス部は、
現行タイプのDPSパイプより厚みがある為、
カットに時間が掛かりました。
ペンチやニッパーで、カット出来る代物では無かったので、
鉄ノコで、斜めに切り込み、
転がしながらカットします。
鉄ノコで、斜めにゆっくりとカットして行きます。
鉄ノコでカット!
パイプシート外し完了!
※ブランクの表面処理。
写真の色合いが悪いですが、
ブランクの素材表面はしっかりしていました。
これから表面のエポキシや汚れを除去、
下地を作り、お客様の持ち込まれた、
たこ糸6号を巻いて行きます。
※お客様ホームセンターでご購入されての持ち込み品です。
「たこ糸6号」。
糸の太さは、各個人の握り易さに反映する為、
握り易く、馴染み易いたこ糸を使用、
ご購入品を持ち込まれました。
※本体ブランクに糸巻きを行います。
※質感の柔らかい素材は、
糸巻き時にテンションを掛けて巻かないと、
使用時に根崩れを起こす可能性がある為、
1周1周きっちりテンションを入れて巻く。
※隙間をしっかりと埋めて、表面をならします。
タコ糸は弾力があるので、
特に力を入れて巻かないと、均一に綺麗に仕上がりません。
※タコ糸巻き終了!
巻き始めからエンドまで、
106cmで終了しました。
※お客様からご指定されたウルシの黒(徳用)。
うるし徳用の黒でタコ糸部(白)を数回塗り仕上げます。
うるしは、専用の溶剤で薄めて塗ります。
タコ糸は弾力があり、水分の吸収力が高いので、
このままの状態で塗ると、徳用1本では足り無くなる可能性があります。
そして、うるしは乾燥にも時間が掛かるので、
量が多いと作業時間が延びます。
そこで、先に薄めたエポキシを土台とし、
浸み込み乾燥させたいと思います。
下地の作成作業に取り掛かります。
※玉口径に合うカーボン竿を差し込み、
延長してロッドメーカーの受けに乗せます。
継ぎ手を作れば、
仕舞いが長い竿でも処理出来ます。
これから本体に薄めたエポキシを塗り、
たこ糸に吸わせて、土台作りをして行きます。
※計量カップ小(10ml)、大(20ml)。
通常は、計量カップ小を多用してますが、
今回は計量カップ大を使用して、
容量アップで塗って行きたいと思います。
※1回目のエポキシコーティング実施。
エポキシコーティング剤です。
色の違いが見て取れます。
下の液体(透明)が主剤です、一般にA剤と呼ばれています。
上の液体(少し黄色掛かっています。)が硬化剤のB剤です。
※しっかりと混ぜ、泡立つまで行います。
良く混ざり合うと白っぽく泡立ちます。
主剤と硬化剤は、エポキシの種類によって混ぜる比率が違います。
購入時に確認をおすすめします。
今回使用したエポキシは、比率が1:1のタイプです。
計量を間違えると、硬化不良を起こしますので、
比率には十分に気を付けて下さい。
※溶剤を入れて、泡立ち状態を処理します。
配合、A剤 1: B剤 1: 溶剤 2 で完成。
1:1:2です。
1個では足りないと思いますので、
後2.3個作る可能性があります、
塗りながら様子を見ます。
※上から塗って行きます。
やはり吸収率は高く、
1個目のエポキシは、ほとんど塗りが進まず、
吸収されてしまいました。
1個の分量で、どの位塗れたのか測り、
これから作るエポキシ残数を出します。
玉口側を上部として塗り始めました。
メジャーで計ると1個目のエポキシが、
40cm位までは塗る事が出来ました。
塗り部全長が大体100cmあるので、
残り2個のエポキシを作り塗ります。
残量は折り返し塗りを行います。
※2個目のエポキシ作り。
終了!
※3個目のエポキシ作り。
終了!!
※全体をエポキシで塗り、土台の下地が出来ました。
ワインレッドのスレッドD(太)で、
指定位置の糸巻きを行います。
マスキングテープまでをスレッド(ワインレッド)Dを巻きます。
下地のタコ糸がスレッドより太い為、
そのまま巻き上げると、
タコ糸表面のでこぼこ(山と谷)の影響で、
上手く巻けません。
そこで、
再度エポキシを厚めに塗り、
表面のでこぼこを、埋める作業をしてから、
スレッド巻きを行います。
※リールシートの脚巻き部も長さを測り、
エンド(石突き)から、指定の長さを測ります。
リールシートを巻き上げる脚部の間隔も測り、
マスキングしておきます。
※マスキング完了。
リールシートを外し、
マスキングからマスキングまでの間を、
エポキシコーティングして、
スレッドを巻く為の下地を作ります。
※下地塗り完了!
エポキシ塗りを2回行い、
表面のでこぼこを処理しました。
これからスレッドを巻きます。
スレッドを巻き易くしておきます。
今度は、マスキングを逆に行います。
※プレートシートを乗せ、再度位置確認します。
プレートシートを乗せて位置の確認を行います。
この位置が少しでもズレていると、
後から巻くスレッドの作業に支障が出ます。
ミリ単位で確認!
※今度は、エポキシを乗せた場所をマスキングしてこれから、
うるしの黒を塗って行きます。
エポキシで実施した、下地埋め作業のおかげで、
塗ったうるしも、極端に吸収される事も無く、
無事に、徳用うるし1本で、
塗りの作業もスムーズに行う事が出来ました。
※うるし塗り、2回目終了しました。
うるしも、2回塗ると黒がしっかりと際立って来ます。
乾燥も、1回目、2回目共に、
5日間から1週間寝かした後、作業を行っています。
※マスキングテープを外します。
スレッド(ワインレッド)が乗る下地の箇所です。
プレートシートの脚部、スレッド巻きを行う3箇所位置です。
※デコボコ箇所は、
これから表面処理を行いスレッドを巻きます。
スレッドの太さが、
竿に対して細く、バランスと見栄えが悪いので、
スレッドの重ね巻きを行い、
厚みを取りたいと思います。
※厚みを出す為に、スレッドは2回重ね巻きをしました。
これからコーティングに入ります。
ワインレッドのスレッド(ナイロン)を2回重ねた状態です。
コーティングすると深みのある色合いになりますが、
色がかなり沈むので、若干黒っぽく見える状態になります。
お客様にも御了承を得ているので、
このまま作業を進めて行きます。
※リールシートプレート位置です。
こちらも同じ様に1回下地のコーティングをします。
下地を馴らしたらプレートシートの巻きに入ります。
※プレートシートの糸巻き脚部を削ります。
独特な形をしています。
脚部をしっかり削り、スレッドの乗り上がりを手伝う状態にします。
この作業をしっかり行わないと、
糸が綺麗に巻けないので慎重に削ります。
ヤスリが当たりキズが付かない様に、
シートの根元はマスキングテープを、
7、8周巻いて保護します。
※プラスチックハンマーで叩きながら、
ロッドの湾曲に角度を合わせます。
はの字の広がった部分を削りながら、
ロッドのシート位置の角度に、
プラスチックハンマーで叩きながら、
角度と開き具合を湾曲調整して行きます。
ヤスリ掛けも、コーナー部はしっかり削り込み、
緩やかにスレッドが巻き上がる形に削り込む、
この作業をしっかり行わないと、
スレッドを巻く時に非常に苦労します。
削りが終わったら、
ロッドのシート位置に合わせて角度を再度確認する。
少しでも浮いていたら、ハンマーで叩き微調整を行う。
※スレッド巻き2回目、ボリュームアップ。
1回目で様子を見ましたが、
リールシートに対して、
下地の厚みボリューム不足から貧弱に見えたので、
もう少し糸巻きとコーティングの厚みを出し、
竿に合ったバランスまで、作業内容を引き上げます。
※スレッド2回目コーティング実施。
石鯛ロッドなので、
丈夫で無骨さをイメージして作成。
※リールシート位置確認もしっかり出来ました。
これからスレッドを、
脚部から巻き上げて行きます。
厚みの様子を見ながら、
スレッドの重ね巻き回数を決めます。
プレートの脚部を、
しっかり角度合わせしておくと、スレッド巻きが楽です。
プレートシートの脚部の削り込みの角度調整を行う。
角の面取りをしっかりと行わないと、
スレッドが角に当たり切れたりします。
スレッドの乗り上がりも進まないので、
緩やかな角度と、
スレッドにキズが付かない様に処理は必ず行う。
※スレッド巻き完了。
全体的にボリュームを持たせました。
エポキシ コーティングも、
厚目に依頼されていたので3回実施しました。
※尻手環も、上向きの指定位置で取り付けました。
持ち込まれたTプロの尻手環を、
上向き指定位置で糸巻きコーティング3回実施。
完成しました。
特殊な雰囲気のあるプレートシート取り付けで、
ロッド全体の感じも大分変わってきます。
無骨な感じが良いですね!
※リールをセットして見ます。
店頭に丁度ありました、中古品アンバサダー10000番を、
取り付けて見ました。
バランスの適合では7000番がベストでしょうか?
お客様にも無事引き渡し完了となりました。
是非、型の良い石鯛を釣り上げて欲しいです。
それでは、良い釣りが出来ます様に頑張って下さい。
ブログの掲載も快く、御了承を頂きました。