こんにちは。
タックルオフ工房の曽根です。
前回のパート②に引き続きイカダ竿作成の工程をご紹介します。
今回で一気に最後まで完成させてしまいます!
ではブランクを仕上げていきます。
まず使うのはブランクの切れ端で作ったパーツです。
「D16-FR」と組み合わせてこのようになります。
仮組をしてこのパーツの取り付け位置を確認して接着します。
この時点でブランクも接着してもいいですが、今回はまだしません。
ブランクのスパインを出します。
パワーを生かしたいのであればスパイン上に、曲りの安定性を活かしたいのであればスパインの90度横(腹側)にガイドをつけます。
私は腹側につけることが多いです。
シングルフットのガイドは直接取り付けます。
ダブルフットのガイドはダブルラッピングにする為、下巻きをしておきます。
今現在はこのようになっています。
バット部分にはネームを入れます。
このネーム部分を含めて1回目のコーティングをかけました。
ダブルフットガイドの取り付けをします。
コーティングをかけて仕上げます。
これでブランク側も完成です。
ブランクとグリップの接着に入ります。
まずバットガイド下にマスキングテープを巻き・・・
この部分に接着に邪魔になるパーツを固定しておきます。
マスキングをしたのは傷がつかないようにするためです。
たまにこのフード部分をブランクに通し忘れてグリップと接着をしてしまうことがあります(笑)
ロッドビルディングあるあるの一つだと思いますが、経験したことがある人も多いのではないでしょうか?
皆さん気を付けましょう
接着する位置を再度確認します。
印をつけておきます。
グリップとの隙間を埋めるためにスペーサーテープを巻きます。
こんな感じにしました。
スクリューの部分にマスキングで保護してエポキシが少しでもつかないようにしておきます。
これで接着します。
最後に「D16-FR」を接着して完成!
これで元竿完成です!
最後に穂先の作成の説明をします。
今回使用する素材は、サクラ・チヌ用ソリッド「900×0.5×5」です。
全長90cm、先径0.5mm、元径5mmのグラスソリッドです。
私の作る穂先のほとんどは、この規格の元径が5~6mmになります。
元々がスローテーパーですが、先端部分をカットして削り込むことで先調子にすることもできます。
歌口に穂先を逆刺しで入れてみます。
するとこのようになります。
口から10cmのところに印をします。
この部分でカットすることになります。
以前 DVD(ロッドビルディングパーフェクトガイド3) の中で「逆ざしして5cmでカットする…」と説明していました。
申し訳ございません。説明間違えてます!
5cmですとつなげて曲げた時の調子が綺麗に曲がりません!
編集後の最終確認で見逃していたようです…
メーカーさんに責任はございません(^_^;)
このブランク(肉厚0.5mm)を使用し、つなぎ部分の口径が3~3.5mmの場合、逆ざしして8~12cmのところでカットすると比較的綺麗な曲りをするようになります。
当然口径や、使用する穂先の素材、削り方などによってはこの通りにはなりません。
またブランクの肉厚が0.7mmの物を使用した際も違いが出てきます。
参考程度にしていただければよろしいと思います。
逆ざしして印をつけたところは、先端から64cmとなります。
込み部分をおおよそ3.5~4cmで作ります。
64cmでカットすることで、有効レングス60cmの穂先が作れることになります。
先端部分を数センチカットして調子を出すこともありますが、今回はこのまま使用します。
カットしないで削り込むことで、スローなテーパーで柔らかい穂先を作ることができます。
もし有効レングスを55cmにしたい場合は、元径が5.5mmのソリッドを使用するとおおよそ5cm短くすることができます。
この場合調子は少し先調子気味になりやすくなります。
補足としてガイドの取り付け方について説明します。
上の写真は今回ミニクロガイドの取り付けに使用するスレッドです。
これはフライを作成するときに使用するタイイング用スレッドです。
その中でもミッジと呼ばれる小さなフライを作る用のかなり細めのスレッドになります。
上が一般的なビルディング用のスレッドです。
比べてみるとその太さの違いは一目瞭然です。
私は一般的なビルディング用のスレッドを使用する場合ボビンホルダーを使用することはありません。
しかしこのスレッドはボビンホルダーを使用した方が圧倒的に巻きやすいです。
ミニクロガイドの取り付けは一般的なガイドと違いガイドリング側からフット先端に向けて巻いていきます。
ソリッドが細い為接着剤などでの仮止めも困難な為、写真のようにガイドを手で挟んで巻いてしまいます。
個人的に作成している穂先先端部に使用しているガイドは、すべてフットを半分カットしています。
穂先本来の調子を損なわない為と、軽量化の為です。
上が一般的なビルディング用Aスレッド。
下がフライタイイング用スレッドです。
厚みが違うのがわかると思います。
更に薄くしたい場合は、鮎のイカリ針用の根巻糸も使用できます。
よろしければご参考ください。
実際の穂先に使用した場合の写真です。
上の穂先はビルディング用のAスレッド。
下がフライタイイング用のスレッドです。
厚みもそうですが、巻き幅も変わってきます。
アップ写真です。
糸の強度に関してですが、ビルディング用スレッドに比べると明らかに強度は弱いです。
それでも無理やりガイドを引っ張ってみましたが、糸が切れたりコーティングが割れる前にガイドが曲がったり、穂先自体が破損するレベルでしたのでさほど問題は無いかと思います。
それでも念の為、使用するのは先端部のみにしています。
先端部分は魚がかかるとほぼまっすぐ伸びきってしまいますのでほとんど負荷はかかりません。
これでイカダ竿の完成です!
糸を通して曲げてみた画像です。
パッと見た感じではつなぎ目もわからずワンピースの竿のように見えなくもない?かと思いますがどうでしょうか?
ガイドバランス、スレッドの巻き方と巻き幅、穂先の寸法どり等、元竿と穂先のトータルバランスを考えて作ればこのようになります。
また込み部分の補強をスレッドや金属パーツなどで行わず、カーボンロービングで行ったこともつなぎ部分を目立たなくさせた要因の一つです。
このブランクはシリーズの中では2番目に柔らかいタイプですが、バット部分にカーボン補強をしたことである程度大きな魚がかかってもひどくバットが曲がってしまうこともありません。
比較的柔らか目ですが、バットがしっかりしているので小型から障害物の無い場所での年無クラスまでの引きを楽しめる竿になったと思います。
まだ実釣で使ってないのでわかりませんが…(笑)
30~48cmが40枚!去年の清水港での釣果です!
もちろん自作のカセ竿で釣りました!
自分で削った穂先を見ながら、竿の曲りも堪能しながらの釣りは、市販の竿では味わえません。
船竿やルアーロッドは市販されているブランクを選んで作成するため、調子を変えたり加工したりすることは基本的には難しくなります。
しかしカセ・イカダ竿は調子も長さもほぼ好みの調子で作ることができる非常に自由度の高いロッドビルディングです。
イカダ竿は最近では海上釣堀でも頻繁に使われています。
自作の竿を試すのには絶好の釣り場の一つですね。
多少手間はかかりますが、是非一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
動画で詳しく勉強したい方はこちらをどうぞ!
東邦産業 ロッドビルディングパーフェクトガイド3 カセ・イカダ竿編
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お勧めの一本です。
ただ前述したとおり説明が間違えているところがありますのでそこだけ気を付けてくださいm(__)m
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